ビーグル犬、コリー系は要注意!フィラリア予防薬は使えない犬種?

「犬」と聞いて真っ先に思うことは何ですか?そうは言っても、犬にも色々ありますので、一概にこれ!と言い切ることは難しいでしょう。現に、犬の種類一つとってもみなさんが驚くくらいの種類が、この世界には存在するのですから。

世界にいる犬の種類はどれくらい?

みなさんは現在、この世界に何種類くらいの犬がいると思いますか?100種類くらいだと思いますか?それとも200種類?いいえ、実は世界には非公認犬種も含めると700〜800種類の犬がいると言われているんです。この中でも一般社団法人ジャパンケネルクラブ(JKC)では、国際畜犬連盟(FCI)により公認された343犬種(2015年1月現在)のうち194犬種が登録されています。所謂、血統証というものに関わってくる犬種ですね。

犬種により注意点が異ります

こんなにもたくさんの犬種がいるなんて!と、びっくりされたことでしょう。ですがどんな犬種でも「犬」であることに変わりはありませんので、そのお世話の仕方はどの子も一緒です。愛情を持って行う毎日の衣食住(犬にとっての“衣”はブラッシングに当たると考えています)であったり、狂犬病予防注射による登録であったり、伝染性の病気を予防するワクチン接種だったり、フィラリア予防の薬だったりします。

ただし、犬種により注意すべき点の違いはあります。

その代表的な例が、コリー犬種によるイベルメクチンの副作用です。イベルメクチンとは、フィラリア予防に使用される薬の名前ですが、昔から、コリー犬種はこの薬に対して過剰な副作用が出てしまうと言われているのです。

故に、コリー犬種に対してフィラリアの薬は使用出来ないのだと勘違いされている方も、もしかしたらいるかもしれません。

フィラリア予防の種類

現在、動物病院で処方されているフィラリアの予防薬は、大きく分けて4種類あります。イベルメクチン、モキシデクチン、ミルベマイシン、セラメクチンです。
それぞれの薬の、予防薬としての効果に差はありません。ではどうしてイベルメクチンに関して、コリー系の犬種に対して注意が必要であると言われているのでしょう?
実はコリー犬種は、高濃度のイベルメクチンを投与すると神経症状などの副作用が出る可能性があると言われているからなのです。

コリー系の犬種とは?

まず、コリー系の犬種とはどの様な犬のことをさすのか、調べてみましょう。

コリー系の犬種には、コリーを始めとして、ボーダーコリー、ビアデッドコリー、シェットランドシープドッグなどが挙げられます。その多くはイギリスを原産国としており、牧羊犬としても広く知られています。「名犬ラッシー」というテレビ番組でその犬種を知った、と言う方も多くいらっしゃると思います。

これらのコリー系の犬種は、遺伝子の先天的欠陥があるとされています。どの様なことかと言いますと、血液中の薬物や毒物が神経に侵入して障害を起こさないようにするためのバリアシステムである血液脳関門の働きが、先天的に欠損している子が多いと言われているのです(この遺伝子異常保有犬は、全コリー犬種の50%〜85%以上と言われているようです)。そのため脳がイベルメクチンの影響を受けやすく、副作用が出やすいのです。この副作用には主に神経症状が挙げられ、ふらつき・意識混濁・意識昏睡などがあります。中には死亡してしまったケースもあるそうです。

フィラリア予防では危険性は低い

実際にフィラリアの予防薬を使用したことで、これらの副作用が起きるかと言われますと、その可能性は低いとお答え出来ます。それはひとえに、投与量の問題であると言われています。疥癬や毛包虫(アカラス)の治療に使うイベルメクチンの量は、フィラリア予防に使う量の50〜100倍以上といわれています。そのため危険が囁かれますが、フィラリア予防に関しては予防の10倍量までなら安全というデータがあります。

それから投与法の問題もあります。現在、コリー犬種で安全性の確認されているフィラリア予防薬は全て経口薬です。注射は現在も要注意であると言われています。それは経口投与に比べると注射は効きが強く、吸収量も多くなるからです。

このことから、コリー犬種にフィラリアの予防薬を与えるのに心配であれば、モキシデクチンの経口投与が一番お勧めであると言われています。

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